
小説家のティム・ゲストが実際にセカンドライフにログインし、さまざまな人に出会い、対話をして仮想世界に迫真したおそらく世界で始めての本格仮想世界ルポタージュ。今までたくさん刊行された「初心者入門本」や「ビジネス参入本」とは一味違い、実際に仮想世界で”暮らす”ユーザー個人との対話から「生」の仮想世界の姿を追っている。
特に印象に残ったのは、冒頭から最後まで繰り返し登場する心身障害者のグループ。
ボストン郊外にあるデイケアセンター「エバーグリーンセンター」では、”ワイルド”と呼ばれる9人のグループが一つのセカンドライフアカウントを共用しているという。
困難なことが多い日常生活の中で、彼らはセカンドライフをプレイ(実際は介護士が代理で操作)する時間を何よりも楽しみにしている。彼らは一つのアバターを通して、歩き、飛び、踊り、笑い、服を着替え、他人と会話を楽しみ、自由の利かない日常から開放される。
その結果、グループのメンバーはリアルライフにおいても以前に比べて明るく生き生きとした性格になったという。
日本でのセカンドライフの報道のされ方はなぜかビジネスばかりが先行し、今も企業のビジネス参入の話題に事欠かない状況だ。しかし本来、仮想世界とはもっと自由で多様な可能性を秘めているものではないだろうか。
ビジネスも結構だが、日本でももっと上記の心身障害者グループのように「人間」そのものを解放するような、リアルライフをより良くするための活用事例もあってよいのではないだろうか…と考えさせられた。
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