国に依らない民間での宇宙開発業界とIT業界との関係は案外知られていない。
例えば、アマゾン社のCEO、ジェフ・ベゾス氏はブルー・オリジンという会社を設立して宇宙船を開発しており、昨年秋にはデモ飛行を行っている。ネット決済サービスのPaypal社CEOのイーロン・マスク氏もロケット開発を行うスペースX社を設立、昨年8月にはNASAから200億円以上になる契約を勝ち取っている。「DOOM」「QUIKE」などのPC用ゲームをヒットさせたジョン・カーマック氏は月着陸船開発の賞金レースに参戦。勝利に最も近いチームといわれる。
そして、2004年に民間企業が開発した宇宙船で初めて宇宙に到達し、10億ドルの賞金レースに勝利した「スペースシップ・ワン」はマイクロソフトの共同創立者であるポール・アレン氏の資金提供によるものだった。
Googleも例外ではない。その賞金レースを設けたX PRIZE財団の理事にはGoogle共同創立者であるラリー・ペイジ氏が名を連ね、今年9月にはGoogleが冠スポンサーとなる月探査の賞金レース「Google Lunar Challenge」が開始された。
こうした民間宇宙開発企業の一部や賞金レースはセカンドライフ内でも情報提供を行っている。この10月27~28日に米ミューメキシコ州で行われた民間宇宙船イベント「X PRIZE CUP」で、いくつかのプレイヤーにコンタクトすることができた。

チャールズ・ラワ氏。X PRIZE CUPの自社ブースにて。
「Virtual Worldについては、当社の特徴である宇宙船のカスタマイズサービスを疑似体験できるツールとして活用できることを期待している」と語るのはロケットプレーン・キスラー社副社長のチャールズ・ラワ氏。同社はイベント中に新しい機体デザインを発表。勢いを見せていた。チャールズ氏は今年7月にラスベガスで行われた「New Space2007」や六本木で行われた「バーチャルワールドカンファレンス2007」でも同社のVirtual World活用について語っている。また、セカンドライフだけでなく、スプリュームにも機体展示を行うなど、Virtual World活用について実験的な試みを進めている。

Robin Snelson氏はレセプションを抜け出して説明をしてくれた。
また、宇宙旅行産業の実現を支援する団体「スペース・フロンティア財団」ではセカンドライフで賞金レースに関する展示を同団体のSIM(島)で行っている。「今年のレースにエントリーした各社の機体も飛ばしてみることができるのよ」と語るのは同SIMを管理するRobin Snelson氏。同団体のコンテンツはすべて彼女の手によるものだ。SIMでは月着陸船レースがどのように行われるのか、実際に機体を飛ばして実感することができる。本物のレースは現地で見ていても安全を確保するために遠くからしか見ることができない。セカンドライフの中の機体であらかじめイメージを持つことで、より実感を持ってレースを楽しめるだろう。
スペース・フロンティア財団のSIMには、有名な「インターナショナル・スペースフライト・ミュージアム(International Spaceflight Musium)」も隣接している。実際にはありえない、各国のロケットが並ぶ様は壮観だ。同SIMには前述の民間初の宇宙船「スペースシップ・ワン」の展示もある。
NASAもセカンドライフで情報提供を行っており、Virtual World活用は思いのほか広がっていることがわかる。
こうした状況の背景として、「セカンドライフなどのVirtual Worldは、空間や物体をアバターを通した実感として伝えることに優れている」というメリットをあげる関係者は多い。現実の産業でありながらも身近でないことから、なかなか実感を持ちづらい宇宙開発分野にとって、Virtual World/メタバースは貴重なプロモーションの場となっているようだ。








