国立情報学研究所(NII)は人間と知能ロボットの共存社会をデザイン・検証するためのオープンプラットフォーム『SIGVerse』を発表した。本システムのコンセプトづくりには『パラサイト・イヴ』の作家・瀬名秀明氏や『攻殻機動隊S.A.C.』のアニメ脚本家・櫻井圭記氏らも参画している。
人間が社会生活を営んだり、動物が周囲の環境に適応しながら活動したりといった行動は、非常に多く複雑な変動要素の中で成り立っている。そのため、特定の環境で機能するロボットが普及した現在でも、こうした変化する環境の中で社会的な活動を伴う知能ロボットや生物のシミュレーションは非常に困難であったのだが、『SIGVerse』はこれを可能とするものだという。これは知能ロボットの感覚運動と社会的認知シミュレーションを技術的に統合した世界で初めての事例でもある。これによってアイコンタクトを伴う対話や口コミでの地域間情報伝播など、社会的コミュニケーション要素の複合的な検証ができるようになるという。
一昔前の『人工生命』を彷彿とさせるが、単なる生物本来の振る舞いではなく、一定の社会性を前提としたシミュレーションであることが異なる点であるといえるだろう。また、人工生命であれば2Dで模式化された生命体でも十分であるが、アイコンタクトに必要な視覚情報を扱おうとすると2Dでは表現力不足だ。本システムの画面をみるとシミュレーション環境として3D仮想空間を利用していることがわかる。3Dの採用は本システムの目的からも必須であったといえる。(THE SECOND TIMES編集長 箱田雅彦)
(東京IT新聞連載コラムより転載)


