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【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦

3月12日(水)、デジタルハリウッド大学・秋葉原メインキャンパス(秋葉原ダイビル7階)にて、セカンドライフを運営するリンデンラボの技術責任者・イアン・ウィルクス氏の講演会「リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦」が行われた。


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


イアン・ウィルクス氏は2001年にリンデンラボに入社し、以来セカンドライフを構築するサーバー技術の開発に携わってきた人物。現在は同社のIT基盤部門の責任者でありセカンドライフ・グリッドの負荷分散処理の開発に携わっているとのこと。


■セカンドライフの誕生


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦
セカンドライフのプロトタイプ。まだアバターはロボットのような状態だ。


ウィルクス氏曰く、リンデンラボでは2001年の開発当時から既に「ゲーム」ではなく様々なものが混在し参加している人が作り上げ進化させていく「世界」を作るというコンセプトを持っていたとのこと。その際重要になったのが、現実の世界の法則に従った「物理」と物を動かす「スクリプト」だったという。


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦
画面中央にあるのが「シミュレーター」


この「物理」と「スクリプト」を動かすのに最も重要なのが、ビューワや空間を動かす「スペースサーバー」などとは別に独立して存在する「シミュレーター」と呼ばれるサーバー群。今ではとても考えられないことだが、開発当初はこのシミュレーターが1台あれば世界の中の全ての物理とスクリプトを動かすことができたという。


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


そして開発期間を経て、リンデンラボはあらかじめ町やラーニングセンターなど様々なコンテンツを製作した上で2002年にセカンドライフのデモ版となる「リンデンワールド」を公開。徐々にユーザーも参加し始めたが、ユーザーは与えられた町には住み着こうとせず他の場所で自力で物を作り始めたという。ウィルクス氏曰く「当時はリンデンラボが作ったものなんかクソ喰らえ!という状況だった」とのこと。


■システムのシンプル化


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


そしてセカンドライフは2003年にβ版を公開。当時はまだ土地も狭く合計18台のシミュレーターのみで稼動していたが、次第にプライベートアイランド(あらかじめセカンドライフ内に存在するメインランドではなく企業や個人が購入した独自のSIM)が増えていき、2007年の時点で計17,600台ものシミュレーターが稼動するようになったという。
当初はシンプルな構造のシステムで世界を作ることをスタートしたリンデンラボだったが、すぐに膨大なユーザーデータを保存しなければならない必要性が出てきた。そこでデータベースとシミュレーター間でデータをやり取りするため新たなデータサーバーを使用することになったが、その後セカンドライフの拡大とユーザーの増加に伴いどんどんシステム構造が複雑化してしまったとのこと。


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


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【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦
2002年~2007年までのシステム構造の変遷


特に、2007年を境にアメリカ以外の世界中の国からログインするユーザーが爆発的に増加した上に、そのユーザーに関するデータ自体も刻一刻と変化するためデータベースの負荷が増加し、リンデンラボは早急な「スケーラビリティ(scalability:コンピュータシステムの拡張性)」の向上を求められた。
そこで同社はシステムの多くをWEBサービスに置き換え構造をシンプル化。これによりシステム自体の安定性もかなり向上したとのこと。しかしウィルクス氏は「まだまだこれで十分というわけではない」とし、今後もよりシンプルで安定したシステム構造に改善していくとしていた。


■メタバースからマルチバースへ


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


【レポート】リンデンラボの技術責任者が語るSecond Lifeの技術的問題解決と技術革新への挑戦


最後にウィルクス氏は、惑星のスライドを例えに「一つの企業が一つの世界を支配している状態で、果たして本当にグローバルでダイナミックな世界を作ることができるだろうか?」と問題提起。氏はコミュニティやサービスなどをできる限り広範にやり取りできる環境を作ることが重要であるとし、「世界」を提供するサーバーと「アバター」を提供するサーバーを2つに分けることにより相互乗り入れを可能にする”マルチバース”構想を解説した。これは安全なWEBサービスとAPIがあればさほど難しい作業ではないという。


氏は、「仮想世界はゲームではない。現在の我々のステップはまだまだ小さいのかもしれないが、仮想世界は未来・将来の”必然”である。」と語り講演を締めくくった。
合計50分足らずの短めの講演時間ではあったが、世界で最も知名度の高い仮想世界の一つ「セカンドライフ」を運営する企業のスタッフが、今後来るべき”マルチバース”を語るという実に貴重な内容だった。


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尚、今回の講演の様子はセカンドライフ内にも生中継され、合計21箇所もの日本人SIMで同時配信された。


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