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初音ミクで音楽の聴き方が変わる。CGMの新潮流を探るシンポジウム開催


7月22日、シンポジウム「CGM新潮流。オンラインコミュニティの未来像」が東京大学医学部鉄門記念講堂で開催された。


CGMとしてのバーチャルワールドとしてはセカンドライフが有名だ。セカンドライフは個人クリエイターがクリエイティブ活動を行うプラットフォームとしても機能しており、制作されたオブジェクトの売買も行われている。こうした自由なクリエイティブ活動が可能なオンライン3D空間は数としてはまだまだ少ないが、今後、オープンソースのバーチャルワールドプラットフォーム「OpenSim」やオープンエンドの特徴を持つ「スプリューム」などのようなプラットフォームによって、クリエイターの活動領域は広がっていくだろう。


今回のシンポジウムは、DTMソフト「初音ミク」制作担当として知られるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の佐々木渉氏による講演の後、ゲームジャーナリスト新清士氏の進行のもと、4人の識者によるパネルディスカッションが行われた。


ここではそれぞれ印象に残ったコメントを紹介したい。詳しい考察は8月5日(火)配信予定のSTビジネスでも行う予定だ。


■アプリケーションのプラットフォーム化


初音ミクで音楽の聴き方が変わる。CGMの新潮流を探るシンポジウム開催


ガジェットニュースを扱うブログメディア「ギズモード・ジャパン」ゲスト編集長のいちる氏は(初音ミクやセカンドライフのような)アプリケーションがクリエイティブ活動のプラットフォームとなっていく流れを指摘。「これまで表現者ではなかった人が表現していく余地ができてきた」とより、CGMが広がっていく可能性を示唆する。一部のアマチュアはプロにも負けないクオリティの作品を世に送り出しているが、表現者が増えることにより、さらにプロとアマチュアの境界もあいまいになってくるだろう。そうした時にプロがプロであるためには作品の質だけでなく、「その『スタイル』が受け入れられるか」(同氏)という点が重要になってくるとした。


■著作権のグレーゾーンを乗り越える


初音ミクで音楽の聴き方が変わる。CGMの新潮流を探るシンポジウム開催


「著作権のグレーゾーン、そういうものを乗り越えで『初音ミク』はでてきた。」


そう語るのは株式会社フジテレビジョン情報制作局情報制作センター情報企画部企画担当部長の福原伸治氏。初音ミクユーザーによる創作パターンには、ユーザーのオリジナル楽曲を発表するパターンの他に、プロアーティストの曲をカバーするパターンがある。特に初期は後者のようなカバー曲が初音ミクの人気に影響していたが、著作権の観点からみれば問題がなかったわけではない。しかし、例えばテクノポップユニット「Perfume」のブレイクにはニコニコ動画などの動画サイトでカバー作品が注目されたことも逆に影響しており、CGMでのユーザー活動が最終的にはビジネス面でのメリットにも繋がっている。グレーゾーンであるからといって、一概に切り捨てられない魅力がそこにはある。


福原氏は「どんなものにもグレーゾーンはある。どこまで拡大解釈して(受け入れ)、問題ないよう工夫するのかが重要だ」と話す。ユーザー自身も著作権のグレーゾーンを意識し、権利者とうまく折り合いをつけながら創作活動を行っていけるようになれば、各社にとってもよい状況になっていくのではないか。


■ゲームのプレイもコンテンツ


初音ミクで音楽の聴き方が変わる。CGMの新潮流を探るシンポジウム開催


ゲームをスポーツとして捉えた「eスポーツ」のプロデューサーである犬飼博士氏は「ゲームはプレイヤーがいないと完成しない芸術だ。そして、素晴らしいプレイもまた芸術である」と話、自身の使命を「プレイヤーが生き生きと活躍できる環境を用意すること」と説明した。


また、同氏は「(ゲームのソフトだけではなく)ゲームのプレイがコンテンツになっている」とも話す。実際、ニコニコ動画などではゲームのプレイを録画した動画が多くアップロードされている。ゲームをしながら話す「実況プレイ動画」もあり、中には100回を超えるシリーズも存在する。ゲームというプラットフォームでプレイ動画というコンテンツが作り出されているのだ。


これはネット上のあらゆる行為がコンテンツ化する可能性を示している。


■CGMによって音楽の聴き方が変わる


初音ミクで音楽の聴き方が変わる。CGMの新潮流を探るシンポジウム開催


人間のように歌を歌わせることができるDTMソフト「初音ミク」はニコニコ動画などで発表される楽曲が話題を集め、昨年8月末の発売からDTMソフトとしては異例の4万本を売り上げた。「DTMソフト」でありながら、緩やかなキャラクター設定がユーザーの想像力を刺激し、音楽のみならず動画やフィギュアなど様々な派生コンテンツを生み出している。そして、そうした派生コンテンツによってDTMソフト「初音ミク」自体も認知されてきた。


そして「初音ミク」制作担当である佐々木渉氏は、CGMによって音楽制作の裾野が広がることで「音楽の聴き方が変わる」と話す。


「(CGMで制作の)場を体験すると見え方が変わる。初音ミクで音楽制作を体験しただけでも、これまで聴いていた音楽の見え方が変わったといわれる。(CGMのプラットフォームとなるアプリケーションは)最終的にいろんな人が体験してくれて、自分たちも作りたい、育てたい、見たい、という興味をもってもらえるものはうまく回ってくるのではないか。」


初音ミクによって「ボーカル」という表現手段が広まったが、3Dの分野にも、初音ミクの3Dモデルを動かせるアプリ「MikuMikuDance」のように、様々なアプリケーションがCGMのプラットフォームとして出てきた。ユーザーによる3Dコンテンツ制作のハードルがどんどん低くなっていく中で、CGMにおける表現の幅はさらに広がっていくことだろう。

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